多摩美術大学で日本画学科を専攻していたよそ町さん。1年次に竹熊の「漫画文化論」の課題で「光る実」を提出してきました。多摩美には漫画学科はないので、すべて油絵や日本画などの美術や、デザインを学ぶ学生たちです。中にはデッサンは無数に描いてきたが漫画は一度も描いたことのない学生もいます。そういう美大生が描く漫画を見る面白さとは「普通の漫画とは違う描き方」を目にすることです。「光る実」で誰もが注目するのは、森や草むらの繊細な描き方でしょう。パターン化された背景ではなく、背景とキャラクターがコマの中で「絵」として融合し合っています。「光る実」の背景は、それ自体が「キャラクター」と呼べるほど、際立った存在感を主張しています。彼女の瑞々しい感性が、作品によく現れています。[竹熊]