ひさうちみちお氏は1976年、パリの公衆便所で客を漁る美貌の男娼を主人公にした『パースペクティブキッド』が「ガロ」新人賞に入選してデビュー。以後、同誌を中心に漫画を発表し、80年代にかけて、大友克洋・高野文子氏らとともにニューウェーブ漫画の騎手として注目されました。この時期に言われたニューウェーブ漫画とは、ジャンルや性別による読者対象の垣根を越えた、作品本位主義・作家主義による新傾向の漫画および作家を総称した言葉で、それまでの商業漫画の枠にとらわれない豊かな技法と内容が特徴的でした。ひさうちみちお氏は、主要な執筆用具にロットリング(製図ペン)を使い、それまでの「漫画はカブラペンかGペンを使って描くもの」という「常識」を覆し、均質かつ無機的な描線で表現されたエロティシズムとユーモアは、漫画界に多大なインパクトを与えました。代表作は『パースペクティブキッド』『山本さんちの場合に於けるアソコの不幸について』『義経の赤い春』『托卵』など、多数。氏は現在、京都精華大学マンガ学部ギャグマンガコース教授をされています。

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